大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和27年(あ)6755号 決定 1953年5月07日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人内水主一の上告趣意は単なる法令違反の主張であり刑訴四〇五条の上告理由は当らない。〔所論勅令第九号二条にいわゆる「婦女に売淫をさせることを内容とする契約」とはその契約当事者の相手方が当該婦女であると、否とを問わず、結局において、直接又は間接に多かれ少かれ婦女を束縛又は強制して売淫をさせる結果を招来し、婦女の個人的自由の伸張を阻害すべき内容を有する契約を指称するものと解するのを相当とする。この点に関しては既に当裁判所の判例の存するところであり、これと反対の見地に立つ論旨には賛同することを得ない。(昭和二四年(れ)二九〇五号事件同二五年三月一六日第一小法廷判決参照)〕また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 岩松三郎 裁判官 真野 毅 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 入江俊郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例